Bitter chocolate







反射的にドアの方を向くと、プリントを持った虹華ちゃんが立っていた。


ドクンと心臓が嫌な音を立てた。


目の前の圭を見ると、ぴしっと固まっている。


「なにしてるの?先生の雑用?」


虹華ちゃんは、笑いながら圭にそう聞く。


でも圭は、何が何だかわかってないみたいで唖然としている。


あたしが聞かれたわけじゃないけど、このまま虹華ちゃんに勘づかれると面倒だしな…。


「うん、そうなの。帰ろうとしたら呼び止められちゃって」


そう言って、机の上にある紙とホチキスを軽く持ち上げる。



「あー、そうなんだぁ。私も手伝おうか?」


にこっと微笑み、圭の隣に座る虹華ちゃん。



「え?!…だ、大丈夫だよ?!」



あたしたちが頼まれた仕事だし、虹華ちゃんに手伝って貰うのは悪い。


それに…、圭と虹華ちゃんと同じ空間にいるなんてつらいし…。



「私意外と器用だから任せてー!圭くん、ちょっとホチキス借りるね」


虹華ちゃんは圭にそう言うと、さりげなく圭が握り締めていたホチキスを、圭の手から取った。


…思い切り手触ってたし……。

圭の顔、真っ赤。


ズキンっと胸が痛む。