Bitter chocolate









もしそうだったら、あたしは純也くんと住む世界が違すぎる。


あたしには、好きな人以外とそんなことするなんて考えられない。


…考え、たくない。



「…あの時はね、まあ…なんて言えばいいのかなー」



んー、と前髪をくしゃっとやる純也くん。


なんか特別な理由があったの?


それとも別に何もなかった?


…ただ抱きしめられただけなのに、こんなに悩んで気になっちゃうあたしがおかしいの?


「…きっと、林檎ちゃんは見たくないだろうと思ってね」



「え…?」



「ほんとは、知らない方がいい気がするんだけど…、知りたい?」



何故かそう聞いてくる純也くんに、首をこくこくと縦に振った。


…知らない方がいい、ってどういうことなんだろう?



「…なんでかはわからないけど、圭の家から圭と虹華ちゃんが出てくるのが見えてさ。二人並んでこっちに歩いてきたから、林檎ちゃんは見たくないだろうなって思って…」



「…」



「二人にも、林檎ちゃんにも気付かれないように…こう、ギュッと」



笑いながら、抱きしめる動作をやる純也くん。


…圭と虹華ちゃんが?


どうして…?