Bitter chocolate








差し入れを渡すタイミングを伺っていると、突然後ろから肩を叩かれた。



「ひゃっ」



「林檎ちゃん、きてたんだね」



後ろを振り向くと、そこには純也くんの姿があった。


制服姿じゃなく、私服姿だ。



「なんで純也くんが…」



「…たまたま、学校の前通りかかったら試合やってたから。圭の姿でも見てやろうかなって思ってね」



「そ、そうなんだ…」



隣に並ぶ純也くん。


ふわっと香る香水から、この前のことを思い出してしまった。



突然、あたしを抱きしめた純也くん。



…やっぱり、気になってしまう。



「ん?どうしたの?」



じぃっと純也くんを見ていたからか、純也くんは少し困惑した顔であたしを見た。




「…なんで、純也くんはこの前あたしのこと抱きしめたの?」



「この前?…あー……」



少し首を傾げたあと、純也くんは思い出したようにそう呟いた。


…なんか、あたしだけ忘れずに意識してたみたいで恥ずかしい。


…遊び人の純也くんには、誰かを抱きしめるなんてこと…何とも思わないのかな。