Bitter chocolate







暗い夜道を、二人並んで歩く。


話すことなんて特にないって思っていたけど、意外と話は尽きないもので。


たくさん話をしているうちに、いつしか圭の話になっていた。


「林檎ちゃんってさー、いつから圭のこと好きなの?」


「へっ!?」


いきなりの質問に、思わずおかしな声を出してしまう。


「…べ、別に好きっていうか…なんて言うか……」


語尾を弱らせ、言葉の続きに困っていると。


純也くんが急に笑い出した。


びっくりして、純也くんを見る。


純也くんは、口の両端を吊り上げながら、


「あははっ、ごめんね。圭と林檎ちゃんが本当に好き合って付き合ってないの知ってるよ、俺」


と、あたしにそう言ったのだ。


「え…?」


「元々、圭に今回の仮のお付き合いススめたの俺だし」


…え、待って…、どういうこと…?話が急すぎてついていけない。


「林檎ちゃんが圭のこと好きなのは見れば分かるし。圭と林檎ちゃんの好きが違うのも分かってた。…だからこそ、林檎ちゃんを利用すれば?って圭に言ったんだよ」


あたしのことなんておかまいなしに、純也くんは話し続ける。

純也くんの声が、頭の中に大きく響く。


「…圭もひどいよね。あそこまで鈍感だとさすがに疑いたくなるよ。…気づかないフリでもしてんじゃないかってね」


「…で」


「え?」


「…なん、で…あたしを利用しろって、圭に…言ったの…?」


一生懸命搾り出した声は、驚くほど小さくて。

ピュウという風の音にすぐかき消されてしまった。


けれども純也くんの耳にはちゃんと届いたようで。


「…さあ?なんでだろうね?」


意地悪く笑い、あたしにそう言った。