Bitter chocolate






「…じゃあ、ばいばい」


特に話すこともなく、別れを告げると純也くんにガシッと腕を掴まれた。

思わず純也くんの顔を見ると、呆れたような顔をしていた。


「どうしたの?」


「…どうしたのって…。こんな暗い中女の子1人で帰るだなんて馬鹿げたことしないでよ」


「…だって圭、先に帰っちゃったし……」


ぽそりと呟く。

呟きが聞こえたのか聞こえなかったのはわからないけど、純也くんは軽くため息をつくと「送ってく」と言って私の横に並んだ。


まさかの行動に、少し驚く。


昼に話しかけてきたときは嫌な奴だと思ってたけど、意外と優しかったりもするのかな…?


…なんて、ついさっきまで先生と体を重ねてたやつに期待しても無駄だよね。


送ってくれるのは嬉しいけど、正直、今は1人になりたい気分。


純也くんも遠回りになっちゃうし。



「…大丈夫、遠慮しとくよ」



なるべく相手の気に障らないよう、にこっと笑いながら言うと、純也くんは不愉快そうに顔を歪めた。



「これで林檎ちゃんが殺されたりしたら、俺すげー後味悪いじゃん。嫌だよ、そんなことになるの」



…確かにニュースなどでは、帰りを狙われる事件が少ないわけではない。


だけど、私に限ってそんなこと……、ないとは言い切れないけれど。


…でも、なんかだんだん怖くなってきちゃったし…。

仕方ない、送ってもらおう。


「…そこまで言うなら、お言葉に甘えて」


純也くんの顔をチラッと見ながらそう言うと、純也くんは満足そうに笑った。