Bitter chocolate







圭と虹華ちゃんが見えなくなった後、あたしは一人ぽつんと校門に寄りかかっていた。


誰かを待っているとかいうわけではなく。


圭と家が近いから、少し時間をズラさないとばったり会ってしまう可能性が高い。

それはなるべく避けたいのだ。


時間を見ると、もう19時30分だった。


辺りは真っ暗で。


野球部の大きなかけ声がしていた校庭も、今は誰もいない。


世界に、あたしだけが取り残されたような感覚だ。


…なんか、怖くなってきた。


よし、もうそろそろいいだろう。帰ろう。


そう思い、一歩踏み出すと。

後ろから、ぽんっと肩を叩かれた。


「ひゃあっ!」


びっくりして、思いきり肩を震わせる。


恐る恐る振り向くと、そこには純也くんがいた。


「やだなあ、人を化け物みたいに」


「チャラ男くん…びっくりさせないでよ…」


胸に手を当て、そう訴えると純也くんはははっと笑った。


「ごめんごめん。ていうか俺、いつの間にあだ名チャラ男になってんの!」


「ははは〜」


「うわっ、適当にあしらいすぎ」


だってもう誰とも話したくないんですもん。


「まあいいや。こんなところで何してるの?圭待ち?」


突然話が切り替わり、純也くんがそう聞いてきた。


「ううん。もう圭は先に帰ったよ。これから帰るところ!純也くんは何でここに?」


逆に聞き返すと、純也くんは少し言いにくそうにして、


「…俺はまあ、先生とお楽しみしてきたってとこかな?」


と、笑いながら言った。


……あぁ、はいはい。


「範囲が広いですね」


先生とって…、学校でそんなことしないでほしいし、こんな時間までやるな!先生もちゃんと仕事しろ!


実際に言う勇気はないから、心の中だけで言っといた。