Bitter chocolate









「塁くん、劇は大丈夫なの?まだ終わってなかったけど…」



「…あのままやってたら俺林檎とキスシーンなんだけど。彼氏のそんな姿見たいの?」



意地悪げにそう言うと、由香はぶんぶんと首を横に振った。



「嫌!そんなの見たくない!…でも、林檎さん綺麗だった…」



由香には過去に何度か林檎の話をしてるから、林檎のことは知っている。


由香の言うとおり、林檎の演技はどこか惹きこまれるような魅力がある。


…でも、だからと言って…



「俺が由香以外に目移りするわけねーじゃん」



そう囁いて、ぎゅうっと由香のことを抱きしめる。


小さくて、細い身体。


いつも思うけど、強い力で抱きしめれば折れてしまいそうだ。


腕にある点滴のあとが、とても痛々しく思える。



「塁くん~!大好きだよ~!!」


「はいはい」


「その服、似合い過ぎだよ!…本当に、王子様みたい」



嬉しそうに由香が呟く。