Bitter chocolate










折角だから、由香に見せたいんだ。


この姿を。



「塁くん!」



俺がメールで指定した場所に向かうと、後ろから愛しい彼女の声がした。



「…由香」



車椅子に乗り、由香の母親がそれを押していた。


由香の許(もと)に駆け寄ると、ぎゅっと抱きしめられた。



「塁くん~!会いたかったぁ!!」



病気持ちとは思えないほど元気な由香。


ほっと、安心する。


俺も抱きしめ返そうとしたが、今ここは由香の母親の前だと気づく。


いくら親公認だとはいえ、やっぱり目の前でイチャつくのは気が引ける。



思わず由香の母親に視線をやると、パチっと目が合った。



「ふふっ、お母さんお邪魔みたいだからそこらへん回ってくるわね。塁くん、あとはよろしくね」



「あっ…はい」



何だか申し訳なくなりながらも、気を遣ってくれたことに感謝する。