劇の最後のシーンが始まろうとしたとき、アイツ…小笠原純也は息を切らしながらステージ裏にきた。
「…おせーよ」
「この服、着るの難しすぎるだろ…っ」
息を整えながら言う純也。
…これでやっと俺は、林檎に恩返しできるってわけだ。
事前に演劇部のみんなには話しといた。
勿論、林檎以外な。
快く引き受けてくれた演劇部のみんな。
照明係に、「じゃあよろしく」と伝える。
これでもう俺の用はない。
俺は静かにステージ裏を後にした。
携帯を取り出し、彼女にメールをする。
ステージに立っていたとき、チラリと見えた。
一番後ろの席で、目を輝かせながら見ていた由香の姿が。

