「…あたし、ちゃんと純也くんの気持ち知りたいよ…」
そんな小さな呟きでも、静かな裏庭ではよく聞こえるわけで。
純也くんは、くしゃっと前髪を触る。
…逃げないで、純也くんの言葉を全部受け止めよう。
それが前に進むことなんだって、あたしはもう分かってるから。
…純也くんが、少し照れながらわざとらしく咳払いをする。
…ドキドキと鼓動の音が速まる。
不安と期待が、あたしの心の中で暴れ出す。
なんて言われるんだろう。なにを言ってくれるんだろう。
期待はしたくない。
だって、あたしが望んでた言葉と違うことを言われたりしたら期待した分だけ苦しいから。
…でも、どうしても期待しちゃうっていうのが人間の性で。
こればかりは、どうしようもないなって思った。
目の前の純也くんを見る。
純也くんは、すごく優しい顔で微笑んでいた。
胸が高鳴る。
「俺の気持ち、全部聞いてくれる?」