Bitter chocolate








そういえばあのとき、パタパタと廊下を走る音が聞こえた気がする。


…もしかして、それが純也くんだった?



あたしと塁が付き合ってると勘違いしてたから、保健室で二人で話してた時も話の食い違いがあったの?



「…塁くんと林檎ちゃんが付き合ったなら、林檎ちゃんのことが好きな俺の存在は邪魔かなって、そう思ったんだ」



「うん…」



「でも全然忘れられなくて。他の女の子たちにたくさん相手して貰ったけど、いつも浮かんでくるのは林檎ちゃんの顔ばっかり」



ははっと小さく、どうしようもないと言う風に笑った純也くん。


あたしは黙って、純也くんの話を聞いていた。



「だからもういっそのこと嫌われようって思ってさ。…なのに林檎ちゃんは優しくて、正直イラついたよ。中途半端に同情なんてすんなって」



「…」



「あの時は、もうほんとに林檎ちゃんとさよならだと思ってさ。卒業まで、自分から話しかけるのもやめようって思ってた」



「うん…」



「でも、ある日塁くんに呼び出されて、言われたんだ」



「塁、に…?」



「そ」



何を言ったんだろう、純也くんに…。