Bitter chocolate







辛いはずなのに喜んでる。



…仮でもいいから、好きな人と付き合えるって喜んでる。



あぁ、そっか。



圭があたしを利用するように、あたしも圭を利用しようとしてるんだ。



この行き場のない気持ちを、きちんと消せるように。




「…えっ、いいの!?」



あたしの返事が意外だったのか、圭は目を見開いてそう聞いてきた。



「うん。いいよ」



淡々とそう答える。



「で、でも大丈夫か?林檎好きな奴いるんだろ?」



あー、そういえば圭には好きな人がいるってことだけ言ってたんだっけ。



好きな人とか…すぐ目の前にいるけどね。



「…全然大丈夫だよ」




「そっか。…えっと、じゃあ…明日から彼女としてよろしく?」



「あははっ。特に何も変わらないでしょ!…じゃ、あたし帰るね!じゃあね!」



あたしは一生懸命笑顔を作り、何とか圭に別れを告げた。