緊張だけを感じながら二時間をステージの上で過ごすなんて勿体ない。
「…みんな!」
最後の最後、劇が始まるものの数分前。
あたしは叫び、みんなの視線を集めた。
…部員を励ますのは、あたしの役目。
「…緊張してる?」
あたしの問いかけに、こくこくと頷く。
何だか笑みがこぼれた。
「…確かに緊張するよね。だってたくさんの人がこの幕の向こうにいるんだから」
「…」
「…三年生なんかは、最後の文化祭だもんね。緊張しないはずないよね。…あたしだって緊張してる。…でもね」
…でもね、みんな。
「この二時間、精一杯役を演じて、精一杯楽しもう?」
楽しまなきゃ損。
楽しんだもん勝ち。
失敗しても何してもいいから、劇が終わったあと心の底から楽しかったって言えるような劇にしよう?

