Bitter chocolate










お腹を押さえながら、こっちを睨んでくる塁。


昨日のこと思い出せばまた泣きそうになるから、あんまり純也くんの話は聞きたくない。



「喧嘩でもしたのか」


「…別に。ただ、あたしのこと忘れたいって言われただけ。他人に戻ろうって言われただけ。バイバイって、言われただけ」



…ただ、それだけのこと。


でもあたしは要領が悪いから、「はいそうですか」って割り切ることが出来ない。



…純也くんは、もう割り切ったのかな。



「ふーん。…ま、大丈夫だろ」



「なにがよ」



「俺の言ったこと、お前がちゃんとやってくれれば」



「…あぁ、何があっても最後まで演じきれだっけ?…そんな当たり前のことじゃん。言われなくてもやるよ」



塁の彼女の話を聞いたあの日。


“パーッと青春してみねぇ?”と言った塁は、あたしに「何があっても最後まで役を演じきれ」と言った。


そんなことだけやって、何が起こって何が大丈夫だと言うのだろう。