Bitter chocolate










今からスタートラインまで戻るなんて、そんなの出来っこない。


だって、好きな人を簡単に忘れることなんて出来ないから。



忘れよう忘れようって思っても、好きって気持ちがその何倍も何十倍も上を行く。


忘れたいって思うほど、好きって気持ちは膨らんでいく。



「純也くんを忘れることなんて出来ない…!」


「俺は、林檎ちゃんのこと今すぐにでも忘れたいよ」



心のこもってない、抑揚のない声。


あたしに言葉に被せるように言ってきた彼は、くしゃっと前髪を触った。



「もともと俺に好きとかいう綺麗な感情なんてなかったんだよ。誰かを好きになること自体間違いだったんだ」



笑顔の仮面から、時折悲しそうに素を見せる純也くん。


…そんなこと、そんなことないのに。


人を好きになる権利は、誰だって平等にある。



純也くんにも、あるはずなのに…。



どうして、自分を責めるような口調でいるの?