Bitter chocolate








「…えっと……どうしたの?」



振り向いて、圭に問いかける。



「………林檎」



「ん?」



小さくあたしの名前を呼ぶ圭に返事をすれば…



圭は少し頬を赤く染め、あたしを真っ直ぐと見つめてきた。



「…お願いが、あるんだ」




「お願い…?」




「…俺と、付き合って欲しい」




「え…?」




どくんっと心臓が大きく脈打つ。




「…って言っても、仮の付き合いっつうかさ…」



……仮?



「どういうこと?」



「虹華、いるじゃん?虹華さ、たぶん俺が好きってこと知ってるっぽいから妬かせたいんだよね」



……あぁ、あたしの勘は本当によく当たる。



「友達に相談したら、誰かと付き合って虹華に『私のこと好きだったんじゃ…?』って思わせろって。そしたらたぶん虹華の方から告白してくるよって言われてさ」




虹華虹華虹華虹華虹華。



圭の口から出る名前はいっつもそればっかりだね。