Bitter chocolate










返されると思ってなかったから、こんな展開でのシチュエーションなんて一切考えてなかった。



状況を整理するのに、少し時間がかかる。



甘いものが苦手、とかならまだ分かる。


…でも、塁と同じものなんていらないって…。


一体どういう意味なんだろう。




「あ、っと……そ、そっかぁ…」



ほんとは。


ほんとはこのカップケーキを作ってる間、ずっと純也くんのことを考えながら作ってた。


美味しくなあれ、美味しくなあれって。


自分でも馬鹿げてると思うけど、自然とそうやって思えたんだ。



…でも、まさか受け取っても貰えないなんて。



押し付けられたカップケーキを震える手で掴む。



「用はそれだけ?」



相変わらず冷たい声で聞いてくる純也くんに、こくんと頷く。


別れの一言も何も言わず、純也くんは自分の席に戻ってしまった。


ゆっくりと廊下を歩く。


いろいろな感情がごちゃ混ぜになって、頭の中がパンクしそうだ。



…あたし、純也くんに何かしちゃったのかな…。


どうして、あんなに冷たかったの?


どうして…。



ふわふわだったはずのカップケーキは、いつの間にかぺちゃんこに潰れていた。