Bitter chocolate









そんな塁に、思わず笑みがこぼれる。



「心の底から好きって顔してるよ、今」



「…うっせーよ。好きなんだから仕方ねーだろ」



少し恥ずかしげに、でも堂々と塁はそう言った。


二人しかいない教室で、校庭から聞こえる野球部の声と、パタパタと廊下を走る誰かの上履きの音しか聞こえないから…、塁の声は大きく教室に響き渡った。



なんだ、塁にも可愛いところあるじゃん。



「いい彼女持ったね」



「…ん。お前より何十倍もいい女だよ。胸でけーし」



「そんな殴られたいの?」



あたしの体をチラッと見て、ふっと鼻で笑ってきた塁に思わず拳を握る。


…そりゃあたしは寸胴かもしれないけど!しれないけどさ!


お顔も可愛い由香さんと身体までも比べないでほしいよね!



「俺さー…。由香置いてこっち来たこと、正直後悔してるんだよ。…でも、どうすることも出来なくてさ。一人暮らしするにも、高校卒業するまでのたったの一年間だろ?」


「あー…、確かにもったいないね」


「別にそこまで遠くもねーし、大丈夫だろって思ってたんだけど…俺のほうが耐えられねー」



塁の話を聞きながら、あたしは確信してた。


…あ、これ惚気だなって。