「そんな由香が好きになったのは演劇で。あいついつも俺が病室行くと演劇のテレビばっか観ててさ。“塁くんは私の王子様だよ”って言って笑ってんの。…そんな由香のために、俺は演劇部に入ったんだ」
正直、そんな理由があると思わなかった。
楽そうだから、とか何か部活やんなきゃだから、とかそんな理由だと思ってた。
…あたしだって最初は安易な理由で入部したし…。
大切な彼女のために、演劇部に入って本当に王子様役になる塁は素直に凄いと思う。
「…このブレスだって、あいつとお揃いなんだ」
そう言って、塁は優しい顔で先程のブレスレットに触れた。
心から由香さんのことを好きなんだなって、今の塁を見れば誰でもわかる。
「…由香、夏休みに大きい手術したんだよ。無事に終わったあと、今までにないくらいピンピンしてて、病気も順調に回復してるって言ってた」
そういえば、塁は夏休み中…何週間か前に住んでいたところに帰ってたな。
…それが、丁度由香さんの手術のとき?
きっと、塁のことだから手術が終わってから由香さんがある程度元気になるまでずっと傍に居たんだろうな。
「…ほんとに由香さんの王子様じゃん、塁」
「やめろ。他人の口から聞くとなんかむず痒くなる」
…口では乱暴だけど、塁は照れてるだけだよね。
だって、耳真っ赤だもん。

