Bitter chocolate










きょとんとした顔で、純也くんがあたしを見つめる。



「…あたしの前だけでいいから、ほんとの自分を隠さないで…?無理して笑う純也くんは、見たくないの」



ただの友達のあたしが言うのもおかしい話かもしれない。


…でも、楽しくもないのに笑顔で居続けるなんて、疲れるでしょう?


自分の気持ちを押さえ込んでばかりいると、いつか見失っちゃう。


あたしは、圭との恋愛でそれを知ることができた。



本当に楽しい時だけ笑う。


…それだけで十分なんだよ?


もう、純也くんが顔色を伺わなきゃいけない相手はいないんだから…。



「…約束してくれる?」


「うん。…まあ、ずっと笑っちゃうのは癖だから治すのは難しいとは思うけど…。なるべくそうするように頑張るよ」


「よし!」



純也くんの返事を聞いて、あたしはそう言うとすくっと立ち上がった。



「今日は楽しもうよ!ね?あたしお腹空いちゃったから屋台見たいなぁ!…ほら、花火始まっちゃうし…行こ?」


純也くんに手を出す。


純也くんは、くすっと笑ってあたしの手をとった。


「そうだね、楽しもっか」


立ち上がった純也くん。


一度つながれた手は、花火が始まるまで離れることはなかった。