「…俺さ、母親が恋愛依存症でね。毎週…いや、三日に一回の頻度で相手の男が変わってくって感じで。俺、あの人が付き合ったうちの誰かの間にできた子なんだよね」
「え…」
「だから、俺も林檎ちゃんと同じで父親の顔知らない。…ま、林檎ちゃんの話と同じに分類出来るほど俺の話は綺麗じゃないんだけどね」
…純也くんも母子家庭だったんだ…。
お母さんが、恋愛依存症か…。
その病気がどういうものなのかはよくわからないけど、三日に一回の頻度で相手の人が変わるっていうのは相当だよね?
「俺が生まれてからもあの人は全然変わらなくて、幼少期は冷たく…っていうか、全く相手にされなかったことしか覚えてないんだよね。…小さい頃はただあの人に向かってばっかりいたけど、ある時ふと気づいちゃって。俺があの人に愛されてなかったってこと」
純也くんは淡々と…、どこか悲しそうな瞳でそう言った。
なんて言葉をかけたらいいかわからない。
そんなつらい体験をしたことがないあたしは、純也くんのつらさがどれほどのものだったのか知ることができない。
…でも、実の母親を「あの人」と呼んでいることが、全てを物語っているような気がした。
「それからは、あの人にどうやったら愛されるかってばっかり考えて顔色ばっか伺ってた。恋愛しか脳にないあの人は、ちゃんと働くなんて無理な話だったし…、俺の養育費とかは全部身体で払ってたよ」
「…」
「家に男が来る時は、朝昼晩季節関係なく一日中外で過ごしてたときもあった。…中学生になったときは、もう完璧にあの人のことは軽蔑してたよ。…高校入ってからは、さすがに耐え切れなくなって家でたけどね」
「え…?っていうことは、純也くん今一人暮らしなの?」
「そうだよー」
何も気にすることなく、純也くんはけろりとそう言った。

