『そんな深刻に考えないでいーよ、林檎ちゃんはそのままで居て』


「…」


『ただの俺の意気込みみたいなやつだからさ。…まあ、それで手始めにデートなんてどうかなって思っただけだよ』


「そっか…」


『…で、行ってくれる?俺と』


…ほかに行く友達なんていないし…。


視野を広げるってことも…、大切だもんねっ!


「うん!行く!」


元気よく言うと、純也くんは安心したようにほっと息を吐いた。


18時に七色公園の時計台の下で待ち合わせってことになった。


お母さんにそのことを言うと、嬉しそうにどこからか浴衣を持ってきた。



「うふふ、この浴衣ね、お母さんが昔着てたやつなの。いつか自分の娘に着せるのが夢だったの!着付けやってあげるから!」



「えっ、浴衣なんていいよ…。似合わないし、恥ずかしい…」



「いいから!ほらほら早く!」



無理やりお母さんの前に立たされ、浴衣の着付けをしてもらう。


浴衣着るの、何年ぶりだろうな…。