「うわっ、林檎…その顔どうしたの?超ブサイクッ!」
「ひど…」
翌日、学校へ行くと第一声にそんなことを言われた。
もちろん、言った相手は優香。
…でもきっと、あたしは二回言われる。
「はよーっす。…うわっ、おいわさんみてーなのがいる。ブスすぎやべー」
ほらね、言われた。
言った相手は、隣の席の…塁。
塁と優香は、あたしを通じて結構仲良くなった。
毒舌二人組みが一緒にいたら、あたしのメンタルはきっとやられる。
「昨日なんかあったの?…話、聞くよ?」
「どーせくだらねーことで泣いたんだろ?動物のドキュメンタリーでも観たんだろ?ライオン親子の愛!みたいな?」
…同じ毒舌組でもこんなに違うとは。
なんだかんだ言って、ちゃんとあたしの心配をしてくれるのが優香。
ただ口が悪く、人のムカつくことしか言わないのが塁。
提出するために机から出したノートで、塁の頭を叩く。
「塁は黙ってて!優香だけに聞いてもらうから!」
「はぁ?仲間はずれかよ?いじめじゃねーか」
「なぁにがいじめだ!黙って円周率でも計算しててよ!」
「なんで円周率なんだよ…。まあいいや盗み聞きするから」
…平気な顔をして言う塁に、あたしは諦めため息をついた。
…ま、圭の話だから塁に聞かれても支障はないんだけどね。