Bitter chocolate








純也くんと話しながら、二階の教室まで来る。


階段を登ってる途中、ぽとっとティッシュを落としてしまった。


ひらひらと下へ降りていくティッシュを拾おうと、体の向きを変えた。


…次の瞬間。


どんっと誰かに背中を押された。


「え…っ?」


空中に舞う、あたしの体。


少しずつ?…ううん、もっと早いかも。


とにかく、下へ下へとあたしの体は落ちていった。


まっさかさま。


見える景色が、ぐるぐると回っている。


あたし…、誰かに押されたんだ…。


今、階段から真っ逆さまに落ちてる途中?


あたし、死ぬの…?


なんでこんな冷静に分析できてるんだろ…


人は死を目の前にした瞬間、冷静になるのかな…?


下まで落ちたら痛いかな…。痛いよね?



…叫び声すらもでない。


その前に、いまさら助けを呼ぶなんて…遅すぎる。


鈍い痛みが体中に走った。


「…っ……」


やば…い……、頭、打ったの…か、な…?意識、が……。



「林檎ちゃん?!」



どこか遠くで、あたしの名前を呼ぶ声がした。