Bitter chocolate








「ここいいよね。涼しいし、人通り少ないからサボれるし」


よっこいしょ、とあたしの隣に座った純也くん。


肩が少し触れ合うくらい、その距離は近い。



「そ、そうだね…。涼しいし」



なんだかそっけなくなってしまった。


変に思われてないといいな…。



「あ、そういえばさー、聞いたよ、文化祭の劇主役なんでしょ?」


「う、うん!白雪姫の役!」


「林檎ちゃんにぴったりだね。…王子役は、あの転校生くんだっけ?」


「そうそう!塁っていうの!」


「最近いつも一緒にいない?ちょっと妬くんだけど」



そう言って、あたしの髪に触れる純也くん。


あたしを見つめる純也くんの瞳が妙に色っぽくて、思わず目を逸らしてしまった。


むりだ…。


なんか今日は無駄に照れちゃう…。


「林檎ちゃん?聞いてる?」


「へ、あ、うん!聞いてます!」


「ならいいんだけど…。キスシーンも、あるんでしょ?」


「…っ!」



……な、なんだろうこの気持ち。


分かってたはずなのに、他人の口から聞くと恥ずかしい。



「…あ、あるけどフリだよフリ!したフリ!」


「フリでもさ…。あっちは林檎ちゃんに気があるかもしれないのに」


「え、塁が?ないない!」



あの塁に限って、あたしに気があるなんて考えられない。


…まあ、小さい頃はあたしのこと好きだったらしいけど。