お母さんはほんとに凄いと思う。
尊敬もしている。
でも、無理はしてほしくない…。
お母さんは本当にお父さんを愛していたっていうのは分かる。
…お父さんの命日が近づくたびに、どんどん元気がなくなって…。
命日の夜には、夜一人で泣いているから。
あたしにはお父さんの記憶はほとんどないから、お母さんしか知らない。
…だから、前にお母さんが疲労で倒れたって聞いたときは心臓が止まるくらい怖かった。
お母さんに話したいことはたくさんあるけど、我慢して早めに寝てもらったほうが無難なのかもしれない。
「…で、林檎はお母さんに話すことはないの?」
「え…?」
「…林檎は顔に出やすいんだから、考えてることくらい分かるに決まってるでしょ。お母さんに気なんて使わなくていいから。ね?林檎にまで使われてちゃ母親失格よ」
にっこりと微笑むお母さん。
…やっぱり、お母さんには全てお見通しかぁ。
「…たくさんあるの!話したいこと!」
「うんうん。全部聞いてあげるから」
「あのね…、あたし、文化祭の劇の主役になった!」
一番にお母さんに伝えたかったこと。

