塁も揃った演劇部全員で、適当な空き教室に入った。
みんながそれぞれ席に座り、あたし一人だけ教壇の前に立つ。
視線があたしに集まり、緊張するけどそんなこと言ってられない。
「…え、えーと…、今日は文化祭でやる劇を決めようと思います…!劇の内容はオリジナルでも元からある本でも何でも構いません!何かやりたいものがあったら手をあげてください!」
…なんて言ってみるも、すぐに手が上がらないのはもう予測済みだ。
みんな各々やりたいものが違うから、去年もかなり時間がかかったのを覚えてる。
シィンとなる教室。
ここはあたしがなんか言葉をかけてあげないと…!
そう思い、過去の資料をペラペラとめくる。
「…因みに去年は、去年の三年生の先輩がオリジナルで書いたシナリオでした!今の一年生も、見たことがある人はいると思うけど…」
そう言うと、一年生は各自うんうんと頷き始めた。
…あ、やっぱり見にきた人多いなぁ。
藍田先輩、ここらへんじゃ有名だったもんな。演技上手いってことで。
「だから、その…、物語を作るのが好きな人とかは良かったら是非書いてほしいなって…!」
あたし自身、やりたい劇はあんまりなくて、どちらかというとみんなの意見を尊重したいと思っている。
だから…、誰か手をあげてくれ…!