「林檎ちゃんに言おうか迷ったんだけど…、ごめんね。堂々と戦いたいって思ったから…。…私、圭くんのこと振り向かせる自信あるよ…」



こんな時でも、頬をほのかに赤らめさせて上目遣いであたしを見つめる虹華ちゃんはやっぱり可愛いなって思った。


最初から勝ち目なんてなかった。それは知ってた。


最初からわかってたことなのに。


なんであたしは覚悟してなかったんだろ。



「…はい、これ。傷ついてない?」



放心状態のあたしに、虹華ちゃんがグロスを拾ってあたしに渡してくれた。



「…ありがとう」



今、どんな表情をして虹華ちゃんに何て言うのが正解かわからない。


虹華ちゃんを応援する?それともあたしも宣戦布告をすればいい?


…わかんないや。


何となく鏡に映った自分の顔を見ると、どうしようもなくブサイクで泣きたくなった。


何でも持ってる虹華ちゃん。


あたしから圭までも奪おうとするなんて。


ああ、神様。なんでこの世は公平に出来ていないんですか。


圭くらい、あたしに譲ってくれてもよくないですか。


あたしはそんなに、神様に嫌われるようなことをしましたか。


少しでも可愛い色で自分を誤魔化せるように…、あたしはたっぷりとグロスを塗った。