本気で死を覚悟した時、突然左手をぎゅっと掴まれた。
え?と思い純也くんの方を見る。
だってあたしの左手を握れるのは、純也くんしかいないから。
純也くんはあたしの方を向いて、なんか言ってるけど映画の音が大きくていまいちよく聞こえない。
上映中だから、大きい声で話すことも出来ないし…。
よくわかんなくて首を傾げると、純也くんがあたしの耳に顔を近づけてきた。
「怖いんでしょ?こうやって手握ってると少しは安心しない?いくら強く握ってくれても俺は平気だから。…俺で申し訳ないけど」
時折、純也くんの息が耳に吹きかかってくすぐったかった。
でも言われてみれば確かに、手を握ってくれてたほうが安心する…かも。
周りは真っ暗であんまり見えないから、ちゃんと純也くんが居てくれてるって思うと少しは怖さが和らぐような気がした。
…こんなに、こんなにあたしのことを気遣って想ってくれてるのに。
なんであたしはその想いに応えることが出来ないんだろう。
考えると、胸が痛む。
ホラー映画は、やっぱり怖さだけがハッキリしといていて内容は全然頭の中に入ってこなかった。
…あぁ…。
頭から離れない、曲がり角を曲がった途端、髪の長い血だらけの女に襲われるシーンが…。

