お風呂から上がり、リビングに向かう。
少し長風呂しちゃったかな?と反省。
まだ濡れている髪をタオルで拭きながら、リビングのドアを開けた。
「圭~、長くなってごめんね。上がったよ」
そう声をかけてみるも、返事がない。
あれ?と思い、もう一度圭の名前を呼ぶ。
ふとソファを見ると、圭が横になって寝ていた。
「圭?寝てるの?」
ソファに近寄り、体をゆさゆさと揺すってみる。
…起きない。
無理に起こすのも可哀想かと思い、ソファの前の床に腰を下ろした。
ソファに寄りかかり、圭の顔を見る。
小さい頃からずーっと見てるのに、まだドキドキするのはどうしてなんだろう。
セーブをかけてるあたしの恋心が、前に進みたいって暴れてる。
「…圭、好き……」
あたしは、小さくそっと呟いて圭の頬にキスをした。
寝込みを襲ってしまった罪悪感はあるけれど、きっと叶わないこの恋。
これくらいのことなら、許してくれてもいいと思うの。
あたしは圭が好きだから。
好きだからこそ、身を引くんだ。
きっとあたしは永遠にこの位置。
圭と虹華ちゃんを見守る、都合のいい幼馴染の位置。
白雪姫を想う、小人の中の一人なんだ。