それから何とか作業を終え、家の前まで純也くんに送ってもらった。
「今日は、ありがとうね。何から何まで」
「いえいえー。少しでも俺の株が上がったなら結構」
「あはは、だからそれ言っちゃえば意味ないって。…じゃ、気をつけてね」
そう言って、軽く手を振る。
すると、突然頭にぽんっと手を置かれた。
「…あんまり深刻になりすぎないでいいと思うよ。焦らず、ゆっくりさ。林檎ちゃんのペースで進むべきだよ。…じゃあね」
二回、あたしの頭をぽんぽんっとすると、純也くんは暗闇の中に消えて行った。
あたしは暫く、その場に立ち竦んでいた。
優香と、純也くん…。どっちもあたしに救いの言葉をかけてくれた。
あたしのペースで、か…。
焦らず、ゆっくりゆっくり自分の気持ちを確かめながら進んでいきたいけど、気持ちは先へ先へってあたしを急かすんだ。
気持ちの整理なんてこれっぽっちも出来てないのに。
圭に気持ちを伝えるのは、もう遅すぎるかな…。
少しの勇気も出せない自分が、情けない。
あたしは、足元に転がっていた小石をこつんっと蹴って、家の中へと入った。

