「…全然気づかなかったよ……」
「あはは、林檎ちゃんは鈍いからねー」
軽く笑って、本をしまう作業を再開する。
…好きだからこそ、あたしが傷つくように仕向けた、か…。
確かに、今あたしはつらい思いをしてる。
圭が虹華ちゃんじゃなくてあたしを見てくれないかなって思ってる。
でもあたしは、好きだからこそ圭が幸せならそれでいいやって思ってる
両方の気持ちがあたしの中でぐるぐる暴れてる。
どっちが正しいのかなんてわからない。
だって恋愛には説明書なんてついてないから。
好きな人の幸せを願う、なんていうのはただの偽善?
欲を言うなら、あたしだって圭と付き合いたいよ。
だけど…、だけどそれが出来ないから。
圭の目にはあの子しか映ってないから。
結局あたしは、一番弱い方法へと逃げ込むんだ。
純也くんみたいに真っ直ぐに思いを伝えることなんて出来ない。
きっぱりと圭を諦めることも出来ない。
…あーあ、気持ちを捨てれるごみ箱があればいいのに。

