スキライ



沈黙したっきりの私を心配したのか、義くんが私の名前を呼ぶ。


「ごめんね、私、義くんのことは、幼なじみってしか思ってないの。

だからね、だからね...」


こういう時だよ、言えるのは。




「スキライ、だよ」




私はそう言って力の緩まった彼の手から逃れた。



「待って、綾奈...!」


「じゃあ、また明日」



私は駆けてゆく。 日の暮れかけた、住宅街を。


幼なじみは気づかぬ間に1人の男になっていて。


「意味...わかんないし」


手も足も、何だか痺れたようにうまく動かない。


そのまま私は家まで走っていった。