「兄上やディアナ様ともう少し話しをしていたいけど時間がなくて残念。これから父上の所に行く所なんです」

そう言って私の傍らを通り過ぎる時にもう一度目が合うとイヤな感じがさらにまし私を凍りつかせた。


「あれは腹違いの俺の弟アデルだ。ディアナが気に入らないらしく時々ヒドイ事を言ってきてディアナを傷つける……何度注意してもダメでどうしようもない。何か言われたら直ぐに言えできるだけの対処はする。
どうした寒いのか?」


クラウド王子は私が首を振ると話しを続けた。


「宮殿に混乱を招かないようにアデルにはお前の事は記憶を無くしたと言ってある
お前が異世界から来たものだと知ってるのは俺とセドラとリマの三人だけだ。
他の者の前ではディアナとして振る舞ってほしい。
顔色が悪いようだな疲れたか?
そろそろ戻るか」



クラウド王子はスッと隣に立ち私を腕の中に抱きしめてから小さく呟いた。
一瞬で視界が変わり私達はさっきの部屋に戻った。