異次元の王子と癒しの姫君



「……酷いよっ……私は七海なのに。
パリに行く飛行機に乗ったら、こんな所に来ちゃったんだよ。
ううっ……私だって帰りたいのに日本に自分の家に帰りたいよぉ……」


「お、おいっ泣くなっ。
悪かったきつく言い過ぎた。
頼む泣くな」


泣くなって言われたって直ぐには涙は止まらないんだから。


さっきまでリマさんが優しくしてくれてお料理も美味しくてお母さん達の事は少しの間忘れてた。


でも……思い出したら心細くてなって、どうしたらいいか分からなくなって。


「クラウド王子は怒ってばっかりで酷いよぉ。
私は本当にディアナさんじゃないのに……。
わぁっ!?」


急に強い力で腕を引っ張られてクラウド王子の胸に閉じ込められた。


「分かった。
そんなに言うならそれでいい。
お前の事はナナミって呼ぶ。
だから泣くな」