異次元の王子と癒しの姫君


ムハトは信用出来る数人の兵士を残しその他の護衛と使用人にはアデル王子の部屋から暫くはなれているようにと命じた。


「アデル様、向こうは何と言ってきているのですか?」


「これ以上は待てないんだってさ」


「どうする、おつもりですか?」


「あの国の王は気が早いと聞いていたけど、ホントにそうみたいだね。
まだ待たせる気ならボクとの約束は破棄してこの国に攻め込んで来る気らしいよ。ほら、読んでもいいよ」


アデルから渡された手紙を読み始めたムハトの顔はどんどん険しくなっていった。


「アデル様……これはまずいですよ……」


「そうだね、とってもまずいね……。今すぐ返事をしないとこっちの命も危ない。しょうがないな……」