「アデルっ、おやめなさい!!昔は関係ないのです。王様が選んだのはリカーナ様なのですから」



「僕だって兄上と同じ王の子なのにこの仕打ち。
こんなところで僕達はずっと、このままなのですか?」


「アデル……」


アデルは苛立ちが抑えきれないままサラの部屋を出て自分の部屋に向かった。


ダンっ!!

「アデル様!!何事ですか?」


腹立ちまぎれに壁を拳でおもいっきり叩いたため、廊下に音がひびいてしまった。


「アデル様っ、手から血が出ていますよ。手当てをしないと」

ムハトは包帯と消毒液を持ちに廊下に出ていった。



壁を打った方の手がジンジンと痛む。


「惨めなままでは絶対に終わらない……」


僕にだってあの座につく資格があるってこと分からせてやる。