ベッドの近くに備え付けられた照明でやっと見えた顔には覚えがあった。
前に一度会った事がある。
クラウドの弟って言ってたっけ……あのときと同じように恐いって感じて体が震えてしまう。
「……そんなに怯えた顔で見ないでほしいな。
ここで何かをするつもりはないからさ。今日はこれを返しに来たんだ」
アデル王子が私に向かって伸ばした手には何か鎖のような物が見えた。
「……いらないの?キミのでしょ?」
アデル王子は雫の形の青い石が付いたペンダントを突き付けるように私の目の前に差し出す。
「……それ私のじゃない」
「あんなに返してほしいと騒いでたくせに覚えてないんだ?」