やっと自由に動けるようになり、それでもしっかりしてる訳じゃないけれども、何とか壁をつたって立ち上がる事ができた。

早くここから逃げなければ、恐怖心に耐えながら必死に扉に言うことを利かないこの足で向かおうとするが、扉は、向かって正面で、今にも開き中から何かが出てこようとしているトランクが邪魔をしている。
焦る中、少しは使えるであろうこの頭で考えた。

(そうだ!)

バサッ

とカーテンを開けた
窓を開け逃げようとした。

その瞬間、トランクは動きを止めた。

それどころか、今にも開こうとしていたトランクは、ガッチリと閉まっていた。
恐る恐る確認した。
トランクはしっかりと施錠されていて、開けたはずの形跡すらない。

(助かった)

ほっとした。
自分はきっと白昼夢を見ていたんだ、そう言い聞かせ続けた。