―早く着いちゃったな…



約束の15分前。



サトルの姿はもちろんなかった。



いつもなら待ち合わせの時はレイが遅れて到着することが多かった。



意識して早く家を出た訳ではなかったが、


心地よい外気の中、足取りが多少軽かったのかもしれない。



売店の中に入り、陳列された雑誌の表紙をさらっと眺めていた。



これといって気になる記事もなかったのでガムを買い売店の前で待つことにした。



まだ10分前か…



ただ人を待つってこうも時間の長いことか。



レイは高い天井を見上げたり、少し先に見える受付のやり取りを眺める。



目的なくその場で立っていたレイは、朝から人で溢れる病院に居心地の悪い感じがしてならなかった。



―まだかなぁ…。


待ち合わせに遅れている訳ではないが、居心地の悪さも相まって少々イライラしていた。



その為、視線の向け場が定まらない。



ただキョロキョロしては目についた知らない人を観察していた。



その時、長身の白衣を着た医者が、


患者らしきおじいさんと立ち話をしているところに焦点が合い観察していた。