それから医師として仕事をしていく中で大切なことを周りから教わった、という。



人として生きること。




人が生まれてくること。





その全てにおいて意味があるってこと。





自分だけの為じゃない。





人は一人では生きていけない。





全ての人は必ず愛されて生まれてくる。






分かっていたようで分かっていなかった、と言う彼は。





その時自分の選んだ道の重さに潰されそうになった。




憎しみから目標にしてきた自分の道をもう一度振り返ることで、





「あんな父親であることは誰にも変えられない事実だけど、…やっぱりたった一人の父親なんだって思ったよ…」








そして彼は母親が亡くなった時に泣いて以来、




枯れたと思っていた涙を流した。







父親の病状が悪化していく中、懸命な治療をしたにも関わらず初期段階の治療をしなかった為に手遅れとなっていた。




「父は、僕を信じて疑わなかったよ。そして僕に感謝している、と。…僕は父の前で泣くまいと堪え切れずに病室を出たんだ…」



彼が少し目を赤くして話した。