Love their

「思ったよ…どうしてあんな父を母はずっと愛しているのかなってね…」



レイは再び話始める彼をじっと見つめた。




「結局のところ、分からないんだけどね…僕を安心させる為だけのﾌﾘかもしれないし…あんなどうしようもなかった父でも離れられなくなる位の優しさを貰ったって言ってたよ…」





それから、彼の父親が急に出て行ったこと。




不定期に送られてくる仕送りを母親は信じて待っていたこと。




彼の母親が病気になって連絡の取りようもない父親をあてもなく探しまわった小学生の時のこと。




母親が亡くなった後にひょっこりと父親が戻ってきたこと。






彼は正確に過去を思い出しながら言葉を選んで話した。




「母が亡くなる前に言ったんだ。父が帰ってきてもどうか責めないで。僕のたった一人の父親だから…って母はどこまで素直な人だったんだろうな…」




苦笑いを浮かべる彼。






そんな彼をレイは抱き締めたい気持ちでいっぱいになった。