Love their

彼にそんな過去があったなんて―。




自然にさりげない優しさを醸しだす彼と一緒に過ごして、



きっと両親の温かい愛情の中で大事に育てられてきたのだろう、と。



レイは辛い過去を持つ自分のひねくれと勝手比較対象にしてしまっていた。





そんなことを全然感じさせない彼の優しさを。




彼が生きてきた中で自身で作り上げてきたものだとは思わずに、勝手に私が頭の中で彼の過去を作っていたんだ。





人はどうしてこんなにも分からないものなんだろう。




私はどうしてこんなにも歪んだ見方をしていたのだろう。




時折見せる彼の寂しそうな目に、今やっと気付いたなんて。





私はどうしてこんなに自分勝手に浮かれているんだろう。






ワインを飲む彼を見て、こんな私とこうして過去を語ってくれるなんて。








申し訳ない気持ちでいっぱいになった。