Love their

「…今更?これって今更?」



目頭を指で押さえながら里子が続けた。



綺麗に引かれたアイラインが里子の目尻を黒く滲ませていた。




レイは何も言えずただ黙ってうつ向くしかなかった。



里子の本心を聞いてレイは少しだけホッとした。




今まで何度か喧嘩もしたけど、




里子にはかなわない、とか思って自分の言いたいことだけ伝えては降伏した。




そんな私をずっと抱えて生きてきた里子に、




この場で言いたいことをぶちまける機会が作れて良かった、なんて。






やっぱり自惚れた自分が惨めに思えた。





そんな両極端な思いを2つ抱えながら。




黙って里子の言葉に耳を向ける。




「あんたとサトル君が付き合ったってこと…聞いたの誰からだと思う?」




「…サトル君から聞かされたんだよっっ!……それにっっ……ありがとうなんて言われたんだよっっ!!」



テーブルの上に里子の涙が溢れ落ちる。





「そんなんで…いつ…いつ私が言えたっっ??吐きだめすら持ってない私にいつそんなことが言える??…言える訳ないじゃんっっ!!!」