「これ…」



里子が買ってきたケーキの箱をレイに差し出した。



「ありがと…」




そんなのわざわざいいのに。



レイは心の中で思いながらも軽く微笑みを作った。







お茶を入れてテーブルに座った。



里子の斜め隣に。



向かい合わせだと、どうしても表情が視界に入ってしまう。






顔を見られたくなかった。




どんな顔して話を聞けばいい?





笑って返せるほど、キャパに余裕なんてなかった。






「食べなよ、私はいいから」


里子が買ってきたケーキの箱を指差していった。






ごめん。


はっきり言って私もいらない。




悠長に食べれる訳ないじゃん。




「ごめん…お腹いっぱいで…」



適当な嘘。



里子とは何でも言える親友なのに。




変な気の遣い合い。






私たちは一瞬にして過去形に変わってしまった。






親友だった、のに…。