まだ少し後ろ髪を惹かれる思いで背中に彼の車を感じるが振り返らなかった。
その角を曲がる…。
もしかしたら、追いかけて来てくれるかもしれない。
淡い無意味な期待を噛みしめながら重い足取りで前を行く。
角に差し掛かり振り向きたい気持ちを抑えながら右に曲がった。
自分から発する息が無性に熱く、まとわりつく生ぬるい空気がより一層不快に感じられた。
そしてエンジンを噴かす音。
彼の車だと分かっている。
レイはその場で立ちすくみ電信柱にもたれかかった。
徐々に遠ざかる音。
彼はレイが角を曲がるのを見届けてから車を発進させたようだった。
段々と聞こえなくなるエンジンの音を拾いに行くように追いかけて曲がった角を戻った。
遠く先にテールランプを見つけて走り出しそうになる身体がウインカーの点滅に反応して躊躇した。
行ってしまった…。
曲がる彼の車を涙で滲む目で見送る。
「ばかやろーっっ!!」
溢れる涙のしょっぱい味を感じながら、大きな声で叫んだ。
熱くなる身体を頭から抱えてしゃがみ、静まり返る道でただひたすら泣いていた。
その角を曲がる…。
もしかしたら、追いかけて来てくれるかもしれない。
淡い無意味な期待を噛みしめながら重い足取りで前を行く。
角に差し掛かり振り向きたい気持ちを抑えながら右に曲がった。
自分から発する息が無性に熱く、まとわりつく生ぬるい空気がより一層不快に感じられた。
そしてエンジンを噴かす音。
彼の車だと分かっている。
レイはその場で立ちすくみ電信柱にもたれかかった。
徐々に遠ざかる音。
彼はレイが角を曲がるのを見届けてから車を発進させたようだった。
段々と聞こえなくなるエンジンの音を拾いに行くように追いかけて曲がった角を戻った。
遠く先にテールランプを見つけて走り出しそうになる身体がウインカーの点滅に反応して躊躇した。
行ってしまった…。
曲がる彼の車を涙で滲む目で見送る。
「ばかやろーっっ!!」
溢れる涙のしょっぱい味を感じながら、大きな声で叫んだ。
熱くなる身体を頭から抱えてしゃがみ、静まり返る道でただひたすら泣いていた。


