どうしてこんなにも。



貴方が欲しい。


貴方が愛おしい。



彼の顔とさっきの心配そうなサトルの表情が何度も交差しながら頭の中を巡る。


少しの後悔と大きな欲求で一杯になり涙が溢れてきた。



レイはバッグの中の携帯を取り画面に視線を落とした。



あれからメールも電話もない。



頬に伝った涙を片方の手で拭いながらアドレスメモリを開いた。




番号が点滅され受話器からコール音が鳴る。




「もしもし」


「レイです…」


「待ってたよ…」



彼の穏やかで少し低い声を聞いてレイは目を閉じて瞳に溜った涙を落とした。



「私も逢いたいっっ…今すぐ逢いたいっっ！！」



髪を揺らす冷たい風の吹く方へ顔を向けた。



熱った顔に心地よく刺激する。



「すぐに行くから、そこにいて」



「早く逢いたい…」





夜風に晒されながら、熱にうなされているような頭を上げて空を仰いだ。



一粒、また一粒と小さい雨が降り出してきた。



レイは構わずに受け止めた。



貴方のものになりたい。



貴方だけの私になりたいと願っていいですか。