「かなちゃんの周りにどっと人が増えた」


「いいことじゃんか。なんだよあたしに友達できちゃいけないのかー」


「そうじゃないけど…あーなんで俺はかなちゃんと同じ学年じゃないんだー!!一年の差が恨めしい!」



どうしたんだこいつ。

急にうーあー唸りだしたぞ。発狂するのか。



「いいなーいいなーあいつらズルいなー。俺もかなちゃんと修学旅行行きたいのになー」


「あいつらって言わないの」


「だって、同じ学年で同じクラスってだけでかなちゃんと同じ班だなんて…俺も一緒に行きたいー!」


「我が儘言わない。仕方ないでしょ?学年違うのは変えようがないんだから」


「あ、そうだ、かなちゃんが一年留年すれば来年は一緒に…」


「お前の事情で人を留年させるんじゃない馬鹿」


「うぇーだってー」


「旅行なんてこれから先いくらでも行けるでしょ。ほら、さっさと片付けて部活行くぞ」


「…俺とも旅行行ってくれる?」


「行く行く。金と時間があればいくらでも行ってあげるから。それならいいでしょ?」


「…うん!いい!」



満面の笑みで飛びついてきたミカン頭の大型犬をさっと避けて手に持っていた箒を片付ける。

同じ場所を掃除していたみんなはもうとっくに片付け終わっているって言うのに、何が楽しくて長々と掃除しなければいけないんだ。



「ほら、部活行くよ」