後日、剣道部の先輩と顧問が頭を下げに教室にやってきたのには驚いた。

顧問の方はお前の話をちゃんと聞いてやらなくてすまなかったと土下座する勢いだった。




「暑苦しいねえ。」

「体育会系だな。」



「見てください僕の力こぶ。」

「おま、ひょろ過ぎだろ。絶対あたしの方が筋肉あるから。」

「では指相撲で勝負しましょう。」

「いやそこ指相撲じゃなくて腕相撲じゃない普通?」

「腕相撲で山さんに勝てる気がしません。」



土下座する勢いの横で突如始まる指相撲大会。




「全員蹴散らしてやんよ!」

「村さんには負けません。」

「直江くん目標低くない?まぁあたしも負けないけどね。」

「さやかの爪は凶器だからダメだろ!けが人が出る!」

「大丈夫よこの位。ちょっと血が出るくらいでしょ?」

「それダメなやつー!」




先輩と顧問が頭を下げている一見シリアスな状況の横でよくもまぁここまで騒げるな。

空気の読まなさ半端ねえ。




「吉岡、お前がよければ剣道部に戻ってきてくれないか?」


向こうの盛り上がりに反してこっちも負けじと空気を読まない。

空気読まない合戦がいつの間にか開催されていたというのか。



「それは無理っすね。もう長いこと離れたし、今はこいつらと遊びたいんで。」



それだけ言って先輩と顧問の前から指相撲大会の方へ向かってしまうメグ。




「お前らうるさすぎな。」

「吉岡くん話終わったのー?」

「メグ君…メグ君は絶対に強いのでシードにしましょう。」

「もうあたしとこいつの決勝戦スタートでいいんじゃね?」


「ちょっと待ったぁ!!岡部名人とまで呼ばれたゲームのボタン連打で培った親指の力を見せてやろう!」

「野球部佐々木が見事吉岡を打ち破ってみせようじゃないか!」

「吹奏楽部で鍛えたこの指力をようやく披露するときがきたようだな!渡辺優勝もぎ取ります!」




…なんか増えてる。