その後、いつもとは違うファミリーレストランに入る。
まさか友だちの母親と2人でファミレスに入る日がこようとは。
「で、まどかの好きな食べ物でしたっけ。」
「はい!ぜひ教えてください!」
「あー…その前に、聞いてもいいですか?」
「…何をでしょう?」
「まどかの家での様子というか、ママさんとの関わり?とか…」
そこまで言うと、まどか母は何とも言えない切ない表情を浮かべた。寂しそうで苦しそうな顔。
「…きっと、学校でのまどかさんはこの間みなさんが家に来た時のように、楽しそうにしているんでしょうね。家では……つまらなそうな顔しかしてくれないんです。」
手元にある財布をいじりながら自信なさげに呟いた。
短時間だがこの人を観察して分かったことがある。それは、全面的に自信がないということだ。
そして、自信のなさが顕著に表れるのは、決まってまどかに関わる時。
「あの、うちが、その、再婚だって話は…」
「知っています。前にまどかに教えてもらいました。」
「…まどかさんのお父さんと結婚して、まどかさんと出会って、1人だった状態からいきなり高校生の娘ができるってなって、わたしすごく不安だったんです。もちろん結婚を決めるときに母親になる覚悟もできていました。でも、いざ母親になったら…」
「ちょ、っと待ってください。」
なんだかその先は聞きたくなかった。

